2017年度 理事長所信


はじめに
私は僧侶である。僧侶の役割は地域の安寧を祈ることである。佐渡ヶ島に住む私たちは佐渡市民として新潟県民としてそして日本国民として、それぞれの方が仕事をもち生活を営んでいる。私たちは何の為に仕事をしているのか。本来仕事とは誰かの役に立つ為、住んでいる地域を便利で住みやすくする為、ついては相手の為に行うことが自分の喜びを感じることであると私は考える。
しかし、現在の日本は地域が少しでも良くなるようにという本来の目的を忘れ、自身の利益のみを得るということを目的としている利己主義な人間が増えているように感じる。日本人は古来より和を重んじ大切にして生きてきた。これは相手のことを考えみんなで協力して生活をしていこうということであると私は考える。この根底には世の為人の為に生きるということである。
私たちは、今一度、この原点に立ち返り、我々は何の為に生きているのか何の為に生まれてきたのかを問わなければならない。
誇り高き人材の育成
私たちが住む佐渡ヶ島は澄んだ日本海が広がり、美しい稜線を描く山々がそびえたち、その壮大な自然は悠久なる歴史と独自の伝統文化を育んだ類まれなる島である。しかし佐渡市民の中に郷土への誇りと愛着を持っているとはっきり言える人が果たして何人いるのだろうか。
自分自身の生まれた故郷の誇りと愛情の亡失は地域の衰退の始まりであると私は考える。反対に誇りと愛情の醸成は地域活性化に必ずやつながると信じている。この誇りと愛情は郷土の歴史認識なくして生まれることはない。そのためには、郷土に対する知識と先人たちが築き上げた歴史を継承する意識を伴った誇り高き人材の育成が必要である。
世代を超えた新たな地域のつながり
私たちが幼少のころは、神社やお寺で地域の大人たちが見守る中、お兄さんお姉さんの後ろ姿を追いかけ、後輩の面倒を見ながら育ってきた。しかし昨今、少子高齢化、人口減少の影響等で世代を超えた地域のつながりが希薄化していることを危惧しているのは私だけであろうか。
佐渡ヶ島の子ども達でさえ、自然の中で本気で遊び、多くのことを学び、心から感動し、生きる力を持つ子どもが減ってきているように感じる。このままでは、生まれた地域を愛し、誇りを感じ、地域を守っていこうとする子ども達が居なくなってしまう。このまま未来へバトンを渡せない。この現象を断ち切る為には、地域の子ども達が主体的に生き、豊かな心を育み、活動できる学校だけでなく家庭、学校、地域が三位一体となる地域教育の再興が必要である。これは、私たち大人の責任であり、使命である。
活きた広報が共感を生む
青年会議所は、明るい豊かな社会の実現に向けて運動を展開している組織であり、組織力の向上は必要不可欠である。その為には、我々会員一人ひとりが目的を共有し、心の通ったコミュニケーションを図らなければならない。
佐渡青年会議所において、諸会議の運営を円滑にするのはもちろんのこと、会員一人ひとりのつながりを重要視することで組織としての一体感そして力強い運動展開への基盤が構築できると信じている。また、私たちの活動は市民が参画して初めて運動となる。昨今のSNS等の情報化社会に伴い情報発信力がかなりの可能性と重要性を占める。外部と内部の両輪での広報を充実させることが、会員の意識向上をはかるとともに多くの市民に信頼される誠実な運動の基盤になる。
すべての原因我にあり
近年の青年会議所が抱える問題のひとつに会員の減少がある。当青年会議所も例外ではない。なぜ会員が増えないのか?この大きな要因は我々会員一人ひとりにあると考える。会員拡大はやり方ではなく、個々の在り方である。当たり前のことを当たり前に行い、説得力を兼ね備えた魅力ある人間にならなければならない。
すべての原因我にあり。今一度自分自身を律することから始めよう。新しい風は、会員同士の大きな刺激となり個々の成長につながる。そして必ずや組織の魅力となる。そして私たちが活動できるのは、家族や社員の理解と支えがあることを決して忘れてはいけない。多くの人達が集う学び舎を確立する為にも、自らを律し、すべての人に心から感謝することのできる当たり前の大人になろう。
結びに
現代の日本は、無関心という魔物が潜んでいると私は感じている。誰かが地域を変えてくれるのではない。今の私たちが変えていかなければならない。そこに住む人が地域に誇りと愛情を持ち、夢や希望を描けなければ佐渡ヶ島は無くなってしまう。失ってからでは手遅れなのである。私たちがやらなければ誰もやらないのだ。この佐渡ヶ島が日本の中で光り輝き、佐渡ヶ島に生まれてよかったと全ての市民が思える、そんな島を皆で創造しよう。まだ見ぬ子ども達の為に、大好きな佐渡ヶ島の為に。
継続・重点事業
継続・重点事業は下記の通りです。
- 佐渡ヶ島の誇りと愛情を醸成する運動
- 世代を超えたつながりによる地域システムの構築
- 自分自身を見つめなおすことによる会員を増強拡大する運動
- メディアと連携した社会的認知度を向上する事業
