2018年度 理事長所信


はじめに
私が生まれ育った佐渡は、美しい日本海と山々に囲まれた自然豊かな島である。北緯38度に位置し、佐渡沖で寒流と暖流が交差する佐渡は、多種多様な南北両系の動植物が自生し生態系を形作っている。また、島の歴史から鬼太鼓や能といった独自の文化が色濃く残り継承されている類まれなる島である。そのような環境の中にいて、私は幼少期からもそのようなことにはまったく興味が無く、ただ生まれ住んだ土地だからと漫然として生活をするだけだった。佐渡へ戻ってきてもその思いは変わらなかった。しかし、帰郷後1年経って佐渡青年会議所に入会し、知り合えた多くの先輩諸兄や友人が地域の為に何をしたらよいか夜遅くまで議論し、イベントを開催する姿から刺激を受けて故郷である佐渡を想う気持ちを教わった。様々なことに多く関わっていく過程で、私は佐渡と佐渡青年会議所という2つの大切なものができた。佐渡青年会議所第46代理事長としてしっかりと責務を全うすると共に、私の大切な佐渡と佐渡青年会議所の発展に邁進していく所存である。
創立から45年の歩み
私たち佐渡青年会議所は、『若者の力で明るい豊かな社会の実現』を目指し、1975年5月12日に全国で529番目に誕生し、今年創立45周年を迎える。佐渡青年会議所が今日まで歩んでこられたのは、先輩諸兄がその時代ごとに佐渡の為に身を粉にして尽力し築き上げてきた賜物であり、深い感謝と敬意を表する次第である。現在、私たちが活動できるのもひとえに先輩諸兄の弛まぬ努力の礎の上に成り立っている。私たちがこれから成すべきことは、先輩諸兄の想いを受け継ぎ佐渡の為に英知と勇気と情熱を持って活動を続けていくこと。そして今までの45年の歩みの功績を称え、更なる時代へ想いを繋いでいく為に歩み続けていかなければならない。そこで佐渡青年会議所の創立45周年を迎えるにあたり記念式典を開催し、佐渡青年会議所に関わる全ての人に感謝と決意を胸に刻もう。
地域力を結集し大きな力としよう
現在、佐渡は人口減少・少子高齢化・雇用減少・観光衰退等、多くの課題に直面している。特に人口減少は著しく毎年1,000人あまりが減少し、佐渡青年会議所創立当時と比べても6万人を割り約半分となってしまった。先に挙げた問題点は密接に関わっている為、どれか1つでも良くなれば解決するものではない。この状況を打開するべく国をはじめ行政や佐渡青年会議所を含む多くの地域団体が様々な試みを行っているが、一挙に解決する奇跡の特効薬など存在せず効果はいまひとつだ。
私が佐渡青年会議所に入会してから常々感じることは、佐渡は一島一市以前の歴史が育んだ地域力を持ち、コミュニティーを形成している。その地元愛に溢れた地域力は非常に強固であるが、地域間での絆や繋がりとなるとそこには見えざる壁が存在しているかのような隔たりを感じる。その隔たりが私たちから、奇跡の特効薬を遠ざけてしまっているのではないか。この垣根を取り払いさえすれば強固な地域力は島全体に広がっていくだろう。それが出来るのは一島一市以前から佐渡全土の為に尽くしてきた佐渡青年会議所であると考える。コミュニティーが手を取り合い同じベクトルに向いた話をしよう。そのことが佐渡を変える一歩なのだと確信している。
佐渡の一番の宝は人財である
佐渡の子ども達が佐渡を一度出てしまうと戻ってこない転出者が転入者を上回る社会減の人口減少が深刻化している。それには郷土愛や佐渡の誇りの欠如が要因であることは間違いないが、佐渡の就職先の減少や観光衰退など先行したマイナスのイメージより植えつけられた意識が要因であるとも考える。佐渡の子ども達には、自分たちの暮らす佐渡で大人になっても安心して生活がしたいと心から思える教育経験が必要だと考える。幼少期に感じた楽しかった経験というものは、心に深く刻まれやすい。私たち佐渡青年会議所は子ども達に学校教育では得られない体験を通じて、希望を抱き、佐渡で生活をすることの素晴らしさを伝えていかなければならない。私はある方に佐渡の一番の宝は人なのだと教わった。豊かな自然も伝統文化も芸能も次世代に伝え継承するのはそこに住む人でしかない。佐渡の将来を考え、佐渡で生活をして、佐渡を次の世代へ引き継いでくれる人財を育成しよう。
組織の在り方を理解し一人ひとりが責任を持つ
佐渡青年会議所は現在約30名の会員で構成されている。私が入会した時にいた在籍年数の長いメンバーの半数は卒業され、大半は私を含む5年以下の在籍年数の短い会員である。今までは内容を良く知っているメンバーが、色々と仕切って物事をきちんと進めてきたが、他メンバーは付き従うだけできちんと理解していないことが往々にしてあった。このことは組織として正していかねばならないと考える。特定のメンバーがわかってやっているのでは、組織として成り立っていない。会員全員で理解しきちんと共有し合うことが必要である。そして組織を知ることで、自分のやっている行動に必ず責任が生まれてくる。故に一人ひとりがまず組織を知り当たり前のことを当たり前にやることが大切だと考える。ただし、在籍しているだけでは理解できない多くのことが青年会議所にはある。そのことについて細かいところではあるがきちんと理解できる場をつくり、会員の意識を強化していきたい。
また組織力を維持するためには会員数が必要不可欠である。先の在籍年数の長い会員の卒業と合わせてこの先2~3年の間に10名以上が卒業をしてしまうことに危機感を覚え、組織の存続の為に会員の増員をしっかりと進めていきたい。このことは一委員会内で進めるのではなく目標計画をしっかりと立てた上で、会員全員に落とし込み実行していくようにして、佐渡青年会議所の増強に努めていこう。
佐渡青年会議所の活動を支えているのは、ご家族や会社、そして仲間のおかげである。皆多くの時間を佐渡青年会議所の為に割いてきた。様々な立場で仕事をする中で、佐渡青年会議所の会議や例会など様々な理由で家族の時間を多く犠牲にしてきたと思う。そのことを十分に理解しきちんと感謝をしよう。そして、一緒に活動している仲間にもちゃんと感謝できる素直な心を持って活動していこう。それが組織の結束を強固にしていくはずだと信じている。
組織は個ではなく団に
組織運営の要は事務局である。総会や理事会に限らず様々な場面でしっかりとした組織運営をしていかなければ、佐渡青年会議所は成り立たなくなってしまう。2018年度佐渡青年会議所は事務局として完全に縁の下の力持ち役として組織運営に徹してもらい、佐渡青年会議所の運営における効率化や効果的なシステムを構築して次に引き継げるようにしよう。
従来は委員会がそれぞれ個であり1年を通じその役割を遂行してきた。ただし会員数の減少も要因で一委員会に所属する会員も4人ないし5人と非常に少ない。その点に危惧し委員会同士で助け合いや意見交換を活発にしてほしいと考え、本年度は事務局と会員強化委員会を総務グループ、地域力結束委員会と青少年希望創造委員会を事業グループとし、大きな括りを設けて組織を進めていきたい。佐渡青年会議所は全員で協力し合って取り組む組織であることをきちんと落とし込んで参加しよう。
2018年度基本理念
和を以って輪を作り皆が同じ想いの元、すべての事に全力し共に成長できる愛と希望溢れる佐渡を創造する。
結びに
『~過去から学び、今日の為に生き、未来に希望を持つこと~アルベルト・アインシュタイン』
私たち佐渡青年会議所には、45年の年月をその時代時代に共に歩んでこられた先輩諸兄がいる。佐渡青年会議所の存在意義とはなんだろうか。今一度立ち返り自分の在り方を振り返ろう。そして青年として今日この日を誠実に生きて、未来の為にやれることをやっていく。それが佐渡青年会議所であり青年としての在り方なのだと思う。私にとって佐渡青年会議所を通じて知り合えた仲間の絆の結束は計り知れず私にとってこれ以上の無い財産となっている。この佐渡という島で知り合えた多くの仲間と共に、地域の人そして仲間たちの笑顔を絶やさない存在であり続ける佐渡青年会議所を一緒に紡いでいこう。
継続・重点事業
継続・重点事業は下記の通りです。
- 創立45周年記念事業
- 地域力を結束し協働する意識の向上事業
- 子どもたちが愛と希望を持てる教育事業
- 組織強化の為の会員拡大
- 会員のJAYCEEとしての資質力アップ事業
- 会員相互の交流と感謝を伝えられる事業
- 組織の効率的な運営
- 効果的な広報の運営
