2020年度 理事長所信

佐渡青年会議所 48代 佐藤 浩司
不撓不屈 佐渡青年会議所 48代理事長 佐藤 浩司

はじめに

佐渡島は日本海側最大の離島である。周囲の海は暖流と寒流の境界に近く、多くの海の幸に恵まれ、砂浜から岩場まで海岸は日本中の種類がすべてあるといわれている。その一方で1,000メートルを超える山がそびえ、多くの高山植物が育ち、平野も広がり田んぼにはトキが舞う自然豊かな島である。また歴史的にみても非常に多くの資料があり、鉱山や寺社仏閣、遺跡や受け継がれた伝統文化など数えきれない魅力を持ち合わせている美しい島である。しかし、そんな魅力あふれるこの島にも問題が山積している。人口減少からなる財政難、先細りする社会保障、人手及び後継者不足、長期にわたる観光客の減少など。徐々に佐渡の体力を削っていくこれらの問題に、瞬間的な特効薬はない。何もしなければ今後地域は加速度的に衰退し持続不能に陥ってしまう。我々は佐渡に住まう青年として当事者意識を持って次の世代に明るい豊かな島を残していく責務がある。

2020年

2020年は日本にとって大きな節目の年となる。今から108年前、1912年のストックホルム大会で嘉納治五郎を団長とする日本選手団はわずか4名であった。嘉納が始めたオリンピック運動はその後広がりを見せた。アジア初のオリンピック開催を夢見たが1940年に行われるはずだった東京大会を見ることなくして道半ばでこの世を去った。その想いは後世へと引き継がれ1964年にアジア初の開催、そして今年夏冬合わせて4度目の開催となった。想いは繋がり時代を越えるのだ。東京大会が行われる2020年という年に、それを意識しながらJC運動にも生かしていこう。 佐渡JCは1973年に設立され今年で48年目を迎える。先輩諸氏が築いてこられた郷土を愛する想いが積み重なった歴史を胸に私たちは新たな歴史を刻む。佐渡JC初となる新潟ブロック協議会の会長を輩出する。今まで佐渡からJCの事業で出ることがなかったメンバーにとっても島外へ出やすくなるはずだ。小さな一歩が自らの大きな成長の機会となる。未来を見据えてその貴重な機会をしっかり掴み新潟の22LOMが連携を大切にして「同行(どうぎょう)~生きる力溢れ 一人ひとりが輝く 持続可能な新潟の創造~」を築いていく一端を担うのだ。また、国内では5年ぶりにJCI世界会議が横浜で開催される。世界の今を知り、それを佐渡に持ち帰り実生活やビジネス、そして地域をよりよくする運動に生かしていくことが我々の使命ではないか。JCという組織のスケールメリットを生かしてさらに友情を深め、輪を広げメンバー一人ひとりが幸せを感じることにより、佐渡を幸せな島にしていこう。

前向きな姿勢が個の成長を飛躍させる

JCとは、やり方ではなくあり方を大切にする団体である。私は人生における本質とは心のあり方と考える。物や情報に満ち足りて、不自由なく生活できる水準になっていても幸せに感じない人も多くいる。かつては私自身もその一人だった。しかし、JAYCEEとして運動していく中で多くの出会いがあり、学びの機会を得て少しずつではあるが今、ここにある物事に対して真摯に向き合い前向きにとらえることが出来るようになり感謝をする回数が増えた。よく「JCは最後の学び舎」と称されるが青年という貴重な時間を預けるに値する素晴らしい組織である。その灯を次世代へ引き継いでいこう。その為にはメンバー一人ひとりがJCでの運動や活動を通じてPOSITIVEになり魅力的な存在でいる必要がある。機会の提供を得られる瞬間を大切にして仲間と共に自らを高め合おう。そしてJCを理解し明るく語れるようになる。メンバー、先輩、家族、友人、周りのすべての人を明るく照らせる存在になろう。その先に会員拡大、組織力の強化がある。

積極的な行動が組織を磨く

我々は仕事やプライベートの時間をやりくりして社会がより良くなるために運動を展開している。運動をしていると、時には何のためにやっているんだろうと足を止めたくなる瞬間はあるだろう。また、事業計画がうまくいかず悩んだ時もあるだろう。そのような時はしっかりと原因を探ろう。原因は1つであっても解決方法は無限にある。答えは1人で深く考えた先に出せることもあるが、先輩や仲間に相談することでより良い答えが出ることは多い。そこから導き出され、仲間から背中を押してもらったことによるAGGRESSIVEな行動はただ単に障害なく出された答えよりもきっと素晴らしいものになる。その経験が個人や仲間の個性や能力を磨き、優れた人材を育成する社会に必要とされる組織となる。その為に、仕組みの変化と相互理解により小さな負担で大きな効果を出していこう。

幸せを連鎖させ故郷の持続可能な未来を創造する

佐渡は外から見ると豊かな島に見える。確かに自然は豊かであるが、経済的にはすべての人がそのように感じられてはいないだろう。その中でも強く感じているのが若者や子育て世代である。事実、若者は島外へ出て少なくなっている。若年世代の減少は佐渡の持続可能性を著しく低下させる。若者が出ていき帰ってこない理由としては働きたい職場がない、遊ぶところがない、気持ちに余裕がない、などいろいろある。沢山ある原因の中でも特に、親をはじめとする大人が住んでいて幸せそうにしているかどうかが重要だと考える。佐渡っていいところだな、お父さんやお母さんみたいに佐渡で住みたいなと感じさせるには、今ここにある幸せとは何か、どのようなものかを子どもたちが感じられるようにする必要がある。そして、その共感の輪を広げよう。今自分は幸せです、と胸を張って大きな声で言えなくても人に幸せになってもらうことはできる。まず一歩を踏み出そう。自分の行動から笑顔になった人を見ることで自分がHAPPYになる。そしてその明るいエネルギーで更なる幸せを生み出していく。その連鎖を作り出し、佐渡にいたい、佐渡に住みたい、佐渡に帰ってきたいと感じさせられる明るい持続可能な未来を創ろう。都会にはない佐渡にしかない幸せがここにはある。

結びに

佐渡は課題先進地域と評される。佐渡でより良い社会を創り、良い見本となればきっと日本は良くなる。自らの手で実践することが出来るJCという組織を誇ろう。既存の考えにとらわれず、前を向き続け挑戦する機会を大切にしよう。誰もがJC運動をできるわけではない。だからこそそれができることに対して素直に幸せを感じ積極的に行動しよう。そして持続可能な幸せな輪を広げよう。フランスの哲学者アランは自分で作りだした幸せは決して裏切らないと言っている。努力をすれば結果は実る。強く想えば幸せな島になる。その姿をみんなに見せよう。未来の佐渡の為に。力必達。

2020年度基本理念

強き想いで持続可能な幸せが輝く島 佐渡の創造

2020年度重点事業

  1. メンバーのJAYCEEとしての資質力アップ事業と会員拡大
  2. 故郷を幸せで持続可能な未来を創造する事業
  3. メンバーや先輩諸氏との交流と感謝を伝えられる事業
  4. 組織の効率的な運営と効果的な広報
  5. 新潟ブロック協議会の積極的な支援
佐渡青年会議所 48代 佐藤浩司